全ての道は将棋に通ずる

まもなく四月も終わろうとしています。今月の体感時間は実に長かった。なんだかもう、3か月間は研修医生活しているんじゃないかという錯覚に襲われています。環境が変わると、適応するまでに時間を要してしまうものです。ブログの更新頻度は学生時代と比べてたったの7分の1になりました。飲み会もたくさんあったけど、日当直は5回も入ったし、病棟当番も2回あったし、新たに通い始めたジムには9回も行ったし、時間の使い方がかなり変わってきました。ちょっと意外なことは、こんなにもブログを書かないと「書きたい欲」が収まらないかと思っていたけど案外そうでもないっていうこと。恐らく、毎日カルテを書く中で、「書きたい欲」の多くは解消できている気もするのです。結構向いている職業だったかもなぁとナースステーションのパソコンを借りながら、時折思います。研修医・たきいです。

 

 

 

81マスの世界に没頭したあの頃は尊い時間でした。

 

型を覚え、先を読み、決断する。

 

小中学生の土日は、将棋盤に夢中になって過ごしていました。40枚の駒たちとの対話です。

 

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昔出場したこともある将棋県予選。午前中のお仕事を終えて、喫茶店で輸液の勉強でもするかと、まさに参考書を開かんとすとしたところで、Twitterで今日がアマ竜王の日だと知りました。本を閉じて、行っちゃった。

 

懐かしい顔ぶれにたくさん会えました。

 

かつての将棋の師匠にもご挨拶。近況報告をば。大変ご無沙汰しておりました。もっと大きくならなくてはと、背筋がのびました。

 

出来の悪い生徒だったので、将棋の技術的なことはあまり吸収できなかったと思いますが、師匠から教わった「感想戦」の重要さは、生きる上で大事な学びでした。

 

一局を指した後、対戦相手と振り返り、検討する。これを将棋の世界では「感想戦」と言います。最善を求め、読み筋を探り合うこと。互いに妥協しないことが相手に対する礼儀で、その姿勢が「感想『戦』」なのかもしれません。これって、どの世界でも大事なことだと思う。

 

医者の世界の「感想戦」とは、たとえば回診かもしれません。行っている検査や治療に関して相手の想いを聞き、フィードバックする。患者さんの数とは、多面指しの数。ベテラン医師が回診をこなす姿はまるで、プロ棋士の脳内将棋を見ているかのようです。素朴なようで、深い。ここで相手といかに真摯に向き合えるかが、「強く」なるためのヒントなのかもしれません。将棋と比較して考えれば、自分の甘さにも容易に気づけます。

 

全ての道は将棋に通ずると、私は本気で思います。

将棋大会の会場の雰囲気に久々に触れて、改めてそう確信しました。

 

 

 

 

 

 

(アプリのプロ棋士棋譜チェックが間に合わないという学生生活には考えられなかった日常で、そこそこ忙しいんだなと思う人(笑))

研修医的コラム。研修医・たきいです。in 宮城県